トロムソ散策

自由行動となったので、とりあえず川沿い（というか海沿い？）をブラブラ歩いていたら、小さい子どもが２人と男親がカモを眺めていた。子どもは、防寒着にすっぽりと覆われていて、母と妹はかわいい！と興奮気味に写真を撮らせてもらっていた。その間、昨日の昼食で残っていたお菓子などをカモにあげてそれを写真で撮ったりした。よく見たら、下に魚も沢山泳いでいた。

親子と別れ、再び散策を開始する。トロムソ大聖堂の通りをブラブラと歩いた。キルナに比べると流石に店は多く、建物を見ているとあぁ外国の街に来たのだなぁと実感した。そんなに大きな建物はなく、かと言ってごちゃとした感じもなく整然と整えられている。ウィンドウショッピングだけでも十分楽しめそうである。

SweetHeartというここでは有名らしいチョコレート屋に入り、お土産として買おうか色々あれこれ悩んだが、結局辞めてしまった。お金を持っていないので、カードで買おうとしたが、躊躇するチキンなのである。インターネットだとあんなにホイホイ買うのに。

その後もお土産屋とかに入ろうとしたが、雨が降ってきたので断念し、帰ることにした。夕食はホテルでは出ないので、セブンイレブン（ここにもあるのだ）でピザを折りたたんだような食べ物を買った。

帰りはタクシーで帰ったが、途中で地下道に入ったので、一瞬変な場所に連れて行かれるのかと身構えたが、iPhoneで見る限り問題ないのでホッとした。帰った後は、暇つぶしがてらに近くにあったショッピングセンターに妹と行った。今日でトロムソは終わりなので、小銭を消費せよと渡されていたので、色々買って最後はコンビニでぴったりなくなった。

ショッピングセンターのスーパーはとてもひろく、そして種類も沢山あった。スーパーとホームセンターがくっついたような感じだ。買い物の仕方も面白い。買い物カゴがあるが、ここでは紐がついており、それを引きずりながら移動するのである。もっとも、カゴ満載にして、引きずる度に上から落ち、その度に拾いに行くというなコントのようなことをしていた人もいたが。

オーロラを求めて〜もしくは獣臭さに耐えろ！

オーロラを見るのは今夜が最後のチャンスとなる。天気はというと、雨はやんだが曇っている。微妙なところである。父親が保険代わりに入れていたオーロラ鑑賞のオプショナルツアーが最後の希望である。

ホテル前で集合となり、そこからワゴン車に乗って行くがガイドさんは同行しない。英語が喋れる人が誰もいない。

……大丈夫なのだろうか。

それに車もとっても獣臭い。犬ぞりツアーと一緒らしい。この匂いで酔いそうである。不安だ。

トロムソから南へ車で30分程進むと、街の明かりはすっかり無くなり真っ暗である。確かにオーロラもよく見えそうだ。晴れていれば。

車が止まり、犬ぞりツアーの人達が降りていった。別の場所に向かうのだろうか？　案内人の人が何か言っているか、よく分からない。come hereとか聞き取れたので、どうやら犬ぞりツアーと場所は同じだったようだ。ゾロゾロと皆降りた。

着いた場所は、やはり犬臭かった。犬小屋が沢山あり、ワンワンと元気よく吠えている。しかし臭い。半端無く臭い。この辺は慣れだろうか。後は、テント状の木の部屋が２，３あった。現地住民であるサーミ族風の家ということだろうか。

オーロラの原理の説明のビデオを見せられた後は、下の雪原へと案内された。道には案内代わりにロウソクが置かれており、中々幻想的ではある。下に降りると、雪を少々掘って、焚き火をぐるりと囲む形で寝そべって鑑賞となった（トナカイの毛が敷いてあるが、これまた・・・略）。

しかしオーロラは出る気配はない。ガイドが何かしゃべっているが、英語を話せる人はほとんど居ないので、どうにもやりにくそうである。何とかコミュニケーションを取ろうとしているのをやや同情気味で見ていると、「あれオーロラじゃない？」という参加者の声であたりは色めき立ち始めた。

そのときは、別のものだったが、それをきっかけにして皆思い思いに散って鑑賞し出した。ちょっとガイドさんが可哀想な気もしたが、まあ仕方がない。誰かが「ガイドがしゃべっている間にオーロラ出てたんじゃない？」とか言っていたが、そうかもと思ってしまったからである。

結論から言うと、オーロラらしきものは見えた。薄い緑状のものがユラユラと動いているのが見えたが、雲でよくわからない。飛行機雲のようにも見えた。まあ、カメラにはちっとも映らなかったので確かめようがないが。高感度のカメラを持っている人はくっきり見えたらしいので、確かに出ていたのだろう。少々残念ではあるが、まったく見れないというわけでもないのでよしとしよう。

その後は、部屋へと案内され、大きいソーセージとケーキとコーヒを振る舞われた。それで小腹を満たした後は、犬と戯れていた。ここの犬はやたらとフレンドリーなので、支えるのが大変だった。体も大きいし。しかし、それにしてもフレンドリーすぎる気もする。こんなに懐かれたことはないのだが。思い当たるとしたら、父親から借りていた革ジャンを防寒着として来ていたからだろうか。

早朝のリベンジ

かろうじてオーロラは見えたので、ホテルに帰ったらそのまま寝た。オーロラは夜中には出ないと聞いていたし、どうせ出ないだろうと思ったからである。

だが、早朝のことである。突然、父親に叩き起こされた。寝ぼけながら起きると、オーロラが出ているとはしゃいでいる。一気に目が覚めて、窓から外を眺めると、薄い雲越しに、確かに緑色の何かがゆらゆらと揺らいでいた。

おぉぉ！オーロラだ！　

慌ててルームコールで母と妹を起こすと、電話越しに二人もはしゃいでいるのが聞こえた。速攻で着替え、ホテルの外に出る。雲が相変わらず出てはいるが、先ほど見たものよりも更に大きくなり揺らいでいるのが見えた。自分のカメラで懸命にとるが、ちっとも映らない。だが、妹のカメラでは撮れたようだ。何気なくホテルの窓から撮った写真には確かに写っている。雲がなかったらもっと美しく観れただろうに大変残念だ。

……え？　はっきり見えないって？　ならばこれはどうだ。

……まあ、かろうじて見えるという点は認めよう。でもいいのだ。ちゃんと自分の目では見えたのだから。

騒いでいる（とは言え控えめだったと信じたい）のに気がついたのか、他の客もちらほらとホテルの窓から外を眺め、思い思いにようやく観れたオーロラを楽しんでいるようだった。「オーロラ出てますよね？」「出てます、出てます」てな感じで。

今日は、起床する予定の時間が早いため、そのまま起きていた。またオーロラ出ないかなと空を眺めたが、どうやら最後のささやかなプレゼントだったようである。